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希少なマンガン絣で作るクールビズシャツ

プリメーラと同じ新潟県見附市にある(株)クロスリードは世界で唯一マンガン絣を作っている会社です。
「マンガン絣」とは大正初期に見附で誕生し、一世を風靡した和装用の布地。鉱物のマンガンを使用し絣模様を作り出す「染め絣」の一種で、織絣より高価にならず買いやすいということで大正初期頃から人気を集めました。綿織物産業で栄えたここ見附ではマンガン絣が一番多く生産されていた時代もあったようです。
絣といえば通常は色の異なる糸を使って織り、模様を作りだしますが、このマンガン絣はマンガンの酸化(色付け)と還元(色抜き)の作用を利用して柄付けをするもので、熱を使わないので環境に優しく、織絣では出来ない曲線的で繊細な模様も表現できます。
このマンガン絣がどのようにできるのか、今回(株)クロスリードさんにお邪魔して作業の様子を見せていただきました。
マンガン絣はまずマンガン染めの糸を作るところからスタートします。マンガンを溶かした水溶液に糸を浸け→苛性ソーダに浸け→空気に晒す__これで発色させます。最初白かった糸はこの作業を繰り返すことで徐々に茶系に変化していきます。
糸が出来上がると次は布作り。最終的な柄のイメージに基づき、通常の糸とマンガン染の糸を縦糸や横糸に使用し織りあげます。マンガン糸をどの程度入れ込むか?縦糸に入れるか?横糸に入れるか?またその配列などにより様々なバリエーションの布地が作り出せるそうです。
出来上がった布は柄付けの工程へ。柄付けには模様が彫り込まれた銅製の筒が使用されます。

↑こちらが実際に使われている絵柄が彫り込まれた筒。これを専用の機械にセットします。

↑機械にセットした筒を洗浄し温めていきます。※この筒には花火柄が彫られています。

↑こちらの白い糊のようなものが中和剤。マンガン糸にこの中和剤がつくと還元反応により茶系の糸が白く変色して徐々に柄が浮き出てきます。この中和剤の固さや筒の温度など、その日の気温や湿度に合わせて毎回調整をされています。熟練した職人さんでないとこの調整はできません。

↑中和剤がついた布が次の作業場所に流れていきます。わずかな時間ですが徐々に柄が白く浮き上がってくるのが分かります。

↑柄が浮き上がった布に「おがくず」をかけていきます。これは他では見る事のできない珍しい工程。

なぜおがくずをかけるのかというと、化学反応の促進と布同士がくっついて移染しないように保護をする為。一度に大量のおがくずを使っていきますが、使用後のおがくずは中和剤がくっついていて再利用ができない為、全て入れ替えるそうです。

↑この状態で空気を吹きつけたりしながら更に反応を促し完全に発色させます。

↑発色が落ち着いたら、生地は小さなプールの中へ。今度は模様以外の地色を安定させます。
マンガン絣を作るうえで重要なのが実はこの“水”にあるそう。水道水では気温の影響を受けやすいためマンガン絣には不向き。この会社がある場所は昔から農作業用として使われていた地下水を引くことが出来たので、気温の変化に影響を受けることなくマンガン絣を作り続けてこられたそうです。
地色が安定した生地はこの後付着したおがくずや薬品を落とし、乾燥・セットをして完成です。

今回柄付けを見せていただいた花火柄の完成品がこちら!!
糸の染めから仕上がりまでに約3か月の時間が費やされた貴重な布地です。また希少性だけではなく、抗菌・防臭・吸湿・速乾と機能面にも優れた優秀な布地なので、気温・湿度ともに高くなる日本の夏のデイリーウェアにまさにぴったりと言えます。
プリメーラでは2013年から毎年柄を変えて(株)クロスリードにこの希少なオーダーさせていただき、クールビズシャツ&ブラウスを製造しています。
日本ではここでしか作られていない希少な素材。気になる方はぜひ一度この製品に触れてみてください。クールビズシャツ&ブラウスはプリメーラ店舗・ECストアでお取り扱い中です。